再使用型宇宙往還機の空力特性に関する研究

 従来の使い捨てロケットに代わって、高い経済性が期待される再使用型宇宙往還機に関して、胴体断面形状に着目した研究をはじめ、ジェット噴射による空力特性の改善、 TSTO(Two Stage to Orbit)型宇宙輸送機の機体分離時の空力特性の解明、モーフィングデバイスによる全飛行領域最適空力形状、ジェット干渉を利用したRCSによる姿勢制御方式の研究、着陸フェーズの空力特性解明のためのRPV(Remotely Piloted Vehicle)を用いた飛行実験などを、超音速風洞、低騒音風洞、野外飛行実験、CFD解析などを組み合わせて研究を進めています。

胴体形状による空力特性の研究

 従来の円形断面を基本とした宇宙往還機の胴体断面形状に対して、高い揚抗比と最大揚力係数に代表される高い空力特性の実現を目指して、胴体断面形状に着目した機体空力形状の研究を行っています。

Lateral blowingによる宇宙往還機の空力特性改善の研究

 Lateral Blowingは、アクティブフローコントロールの手法のひとつであり、気体の噴射によって機体まわりの流れ場を変化させるものです。本研究室では、小規模なジェット流を、翼後縁真下に位置する噴射孔から主流に対して垂直方向に吹き出す噴射方法を用いることにより、翼胴形状の宇宙往還機に対する風洞実験において、亜音速領域において噴射しない場合と比較して揚力特性が約1.4倍向上することが明らかになっています。

TSTO型宇宙往還機の成立性に関する研究

 次世代の宇宙往還機として有望と考えられている、TSTO(Two Stage To Orbit)型の宇宙往還機の分離時における空力特性について、超音速風洞における実験とCFD解析による研究を行っています。母機と子機が超音速飛行時に分離する際に生じる衝撃波干渉現象に着目し、空力現象の解明と安全な分離を行うための機体形状の研究を行っています。

RPVを用いた飛行実験の研究

 再使用型宇宙往還機の空力特性を把握するために、RPV(Remotely Piloted Vehicle)を用いた飛行実験により、風洞実験では得られない実飛行環境に近い状態での空力特性の計測を行った研究を進めています。

モーフィング宇宙往還システムの研究

 宇宙から地球までの全ての飛行領域で最適な飛行を実現するために、飛行条件に適した形状に変形(Morphing)する宇宙往還機について、CFD解析及び風洞試験を用いた研究を進めています。

宇宙往還機再突入時の空力加熱の研究

 宇宙往還機が大気圏に再突入する際に、機体表面に高い空力加熱が生じます。この空力加熱を防御する方式として、Blowing jetによる空力加熱低減方式の 研究を行っています。機体先端からのOpposing jetやFilm coolingなどの気体噴出による空力加熱低減のメカニズムの解明を行なっています。実機の再突入時に生じる高エンタルピー流を実験的に実現するために、フリーピストン衝撃風洞を用いた実験も進めています。また、木星探査を目指したエアロキャプチャー時の空力加熱現象についても実験的、解析的な研究を進めています。

逆噴射ジェットによる空力加熱低減の研究

 宇宙往還機で最も強い空力加熱を受ける機首部分の熱負荷を低減するため、逆噴射ジェットによって流れ場を制御する手法について研究を行っています。空力加熱を防御する装備としては、これまでアブレータや耐熱タイルが使用されていますが、これらは重量が重いことや再使用性に乏しいため宇宙往還機の性能向上を妨げる要因になっています。逆噴射ジェットはそれらの装置よりも重量が軽く、宇宙往還機の性能向上に貢献できるものと期待されています。

次世代推進システムの研究

 スクラムジェットエンジンとは内部で超音速燃焼を行うエンジンですが、流れが速いので燃料と空気の均一な混合が難しいという課題があります。燃焼室内での素早い燃料混合を行うために、超音速風洞実験や3次元シミュレーションを利用してエンジン内の流れ場を解明し、新しい燃料噴射方式の研究開発を行っています。
 さらに、固体ロケットと液体ロケットの長所を合わせたハイブリッドロケッ トの研究を行っています。高密度ポリエチレンとパラフィンを燃料として高い燃料後退速度、燃焼効率を実現するために、燃焼室内の旋回流を利用した新しいロケットエンジンの地上燃焼試験やフライトモデル飛行試験を行っています。現在、さらなる高高度を目指したフライトモデルや燃焼室内の可視化が可能なエンジン の開発にも取り組んでいます。

スクラムジェットエンジンの研究

ハイブリッドロケットエンジンの研究

環境適合型航空機の研究

 次世代の航空機には、低燃費・低騒音といった環境適合性と 高い性能の両立が求められています。オンデマンド輸送を実現可能なエアタクシーを目指した小型航空機の概念設計、モーフィング翼などについて研究を進めています。

電動航空機の研究

 エンジンの代わりに電動モータを用いた電動航空機は、低環境負荷、低騒音、低運航コストという大きな利点があり、次世代の航空機として期待されています。従来の化石燃料を用いる航空機とは異なる特性を有するため、成立性を検討するための概念設計法の構築し、機体の設計、風洞試験、ラジコン機による飛行試験によって、将来の実現に向けた研究を進めています。

音源探査手法を用いた低騒音モーフィングフラップの研究

 Phased Array Microphoneによる音源探査装置を用いた風洞実験やCFD解析によって騒音発生メカニズムを解明するとともに、Morphingフラップの実現を目指した研究を行っています。

 

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Porosity分布可変機構による突風荷重軽減の研究

 翼上下面の圧力差を利用したPorosity分布可変翼による突風荷重軽減機構の研究を行っています。シンプルな機構で効果が期待されるPassiveな機構について、風洞試験やCFD解析による流れのメカニズムの解明を勧めています。

 

モーフィング翼の研究

 飛行中に機体形状を滑らかに変形させるMorphingコンセプトの応用として、翼の断面形状を滑らかに変形させるMorphing Wingの研究を行っています。また、コアンダ効果を利用して、高い揚力を発生させるMorphing Circulation Control Wingを開発し、実験的及びCFDによる解析を行っています。

超小型人工衛星 QSAT-EOSの研究

 地球観測ミッションを目指した50kg級超小型人工衛星QSAT-EOS(QSAT-EOS(Kyushu Satellite for Earth Observation System Demonstration)を、九州地区の大学や企業と共同で開発を行っています。